田中涼子

「いつも人の縁にはすごく恵まれているの。人生はツイてないんだけどね、なんて(笑)」。
田中涼子さん(25)は雑誌のデザインや書籍の装丁など、いわゆる紙媒体のデザイナー(アシスタント)。現在ヤフーの女性向けwebマガジン「LUAU」のデザインなどを手掛けている。今のデザイン事務所は3社目。どの職場も知り合いの紹介で入ったという。「人の繋がりがなかったら私、仕事なんてできてなかった」。理不尽な理由で会社を辞めさせられたり、嫌なことがあったりしても、いつも必ず誰かが手を差し伸べてくれた。1つ1つの経験や出会いを大切にしている涼子さんにとっての「ふつう」を今回、訊いてみた。(文責:富永怜奈)

「ふつうの常識」を叩き込まれた子が美大に進学

父親の仕事の都合で小学校生活は大阪と千葉で過ごした。転校に慣れていて、中学でまた大阪に行くかもしれないと父親から告げられても別に嫌な感じはしなかったという。そのためか今でも新しい場所にも新しい人にもすぐ慣れる。「順応力はあるんだよね」。確かに。涼子さんはいつも明るい笑顔でその場に打ち解けている印象。場に浮いた様子など一度も見たことがないし、あまり想像もできない。決して我が強い個性派ではないが存在感はある、おしゃれで女の子らしいのが一緒にいて気持ち良い人だ。

「今もそうだけど昔から突然ヘンなこと言っちゃう子で!」。天然で可愛い。しかし母親はそれを嫌がり、ふつうの子に育てるために「これは常識、これは非常識」という世の中の決まりを幼いころから涼子さんに厳しくしつけたという。それ自体は悪いことではないが、美術高校に行くために通った画塾で涼子さんは次のように言われ、ショックを受けることになる。「田中さんの絵は、決まりきっていすぎる」。デッサンは得意なのに、自由な発想というものが欠けている自分に気づかされた。当時はそのことで、常識的に自分を育てすぎた母親を責めたこともあった。

そもそも美術高校への進学に両親は最初いい顔をしなかったそうだ。そんな若いころから美術だけに可能性を狭める必要はないという理由からだったが、やはりもっといわゆる「ふつうの子」になってほしい気持ちもあったのかもしれない。そんな両親を説得し画塾にも通い、無事合格。高校になってからはもう、常識についてとやかく言われることはなくなった。

美術に特化した高校での生活は、それまでとは全く違ったものだった。中学までの女子特有の表面的な友達感覚とは異なり、自分の意見をはっきり言える環境で居心地がよかったと涼子さんは振り返る。今の親友たちの多くはその頃からの仲だ。そのままエスカレーターで美大に進学し、プロダクトデザインを専攻。片道2時間半の通学を4年間続けた。

「変わっている人の周りにいると安心できるから、好きかも」

卒業後は冒頭にも書いたとおり。知り合いの紹介で入った会社は理不尽に辞めさせられ、その後面接に行った会社では「今までやってきたことは全部無意味」というような酷いことを言われ……その頃が人生で最もどん底だった。だが前の職場の人が仕事を紹介してくれたりと、涼子さんに手を差し伸べてくれる人がいつもいて、今に至る。「長くずっと仲のいい友達が多い」と言っていることからも、周りの人を大切にする人だということがよくわかる。人を大切にする人は、人から大切にされる。

今は仕事の流れにも乗れている。そんな涼子さんの毎月の楽しみは、3年前から始めた「セレブ会」。5,6人の友達と、老舗や高級なレストランへおしゃれをして行く会だという。「働いているだけじゃよくない。もらったお金を自分に投資することに使いたい。美味しくて雰囲気のいいお店で食事をすれば気持ちが引き締まるし、いい経験として積み重ねられる」。

休みの日にゆっくり休みたくないので、予定が空いていると誰かに連絡してしまうという。仕事を始めてから合コンや友達の紹介などもあり、出会いも多く、友達も増えた。自分とは違う変わった友達も多い。「自分にとって『変わってる』と思うことをしている人を見ると、自分がふつうで安心する。『私ふつうでよかった』って(笑)。変わっている人の周りにいると安心できるから、変わっている人のほうが好きかも」。

変わり者が好きなのにあえて変わり者に触発されることなく、むしろ安心している涼子さん。周りに振り回されることなくきちんとふつうの自分でいられるのは、意外と難しいことだ。常識をわきまえているからこそ、何が変わっていて面白いことなのかがわかるのかもしれない。

今一番したいことは「結婚」。相手はいない。「結婚するまで髪を伸ばし続けることにしたの!どんどん伸びてるけど!」と手を肩の下に当てながら楽しそうに話す涼子さんだが、真面目な顔でこうも話す。

「自分が両親にやりたいことをやらせてもらったから、私もお金が理由で子供に不自由させたくないと思ってるよ。子供の夢のためにバックアップできる親になりたいなあって」。 そんな魅力的な彼女に、友達が集まって来ないわけがない。自分と違う人でも「変わってる」と喜んで受け入れる余裕もあれば、自分の理想をきちんと語る余裕もある人。その余裕が、涼子さんの優しい顔に溢れている。

座右の品
友達

これからもずっと、なかよくしていたい

【略歴】

1983年6月4日生まれ 新潟県生まれ、大阪府・千葉県育ち 千葉県柏市在住 大阪市立隅西小学校→柏市立光が丘小学校→同中学校→女子美術大学付属高校デザイン科→女子美術大学芸術学部デザイン学科→某家電メーカーでデザイナー→某デザイン事務所→現・デザイン事務所【血液型】A型【星座】ふたご座【家族構成】父・母・妹【趣味】最近は刺繍【尊敬する人】両親【好きな場所】バルセロナ【好きな食べ物】砂肝と麺類【苦手な食べ物】あんこ【好きなタイプ】雰囲気のある人・自分より頭の良い人【嫌いなタイプ】人に会わせられない人【座右の銘】「いつか英語をちゃんと話せるようになりたい」【あなたにとって仕事とは?】生活の一部【子供のころの夢】幼稚園の先生

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2009-05-04-MON






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