居酒屋deふつう

F終わりなきモテへの旅

「ひとりぼっちでの何が悪い」。非モテ男子たちを救ったこの台詞には、どんな思いが込められているのだろうか。この対談もついにラスト。サブカル系モテ男子を目指す吉田が、ひとりだけのステディを巡ってとにかく酒を飲み尽くす感動の大フィナーレ。

「ひとりぼっち」を肯定することの救い

増山 例えばアンチバッティングセンターには新田君という男がいまして、この人は『あり得ない角度』で初めて舞台に立ったんですけど

吉田 あぁ、あの面白い人ですね

増山 それまでは、演劇の経験もなにもない、ただのフリーターだった男ですよ

吉田 そうだったんですか

増山 はい。彼は僕と一緒にやっている佐藤君という人と同じバイト先に勤めていたんですが、新田さんはヤバい、この人は絶対幸せになれない、じゃあ舞台あげようという話になりまして

吉田 ははは(笑)

増山 そして、実際に上げてみると、想像以上に凄くて。普段は本当にクズやろうなんですけど

吉田 愛すべき男ですね

増山 そうですね

吉田 で、その話が「ひとりぼっちの何が悪い」という台詞とどう繋がるんですか?

増山 まぁ、焦らずに聞いてください。つまり、僕たちアンチバのメンバーはモテない、金ない、才能もあるかどうか分からない、そんな中でやっていて、それでもやっぱり何かせずにはいられないという状態で演劇をやっているんですね

吉田 はいはい

増山 端から見たら、目も当てられないようなどうしょうもない奴らなんですよ

吉田 そうかもしれないですね

増山 いえ、一般的に見たら、実際にそうなんです。だから、せめて自分自身が自分自身を認めてあげないとやっていけないというところはあると思うんです

吉田 なるほど。それで「ひとりぼっちの何が悪い」なんですね

増山 そうそう、ある意味での開き直りですよ

吉田 まさにロックですね

増山 ネガティブになるのは楽なんです。「俺はどうせモテない」とか。でも、それじゃなにも解決しない

吉田 そうですね。冷静に考えれば、「ひとりぼっちは寂しい」と思ってしまうものですが、あそこで全肯定してくれたことで、なんだか一歩前に進めたきがしました

増山 何かの解決にはならなかったとしても、少なくても救いにはなりますから

吉田 ネガティブになるだけだと、救いにもなりませんからね

増山 その通りです

吉田 世の中のクリエイターに聞かせてあげたいですよ、増山さんの言葉を

増山 聞かせてあげてください

吉田 本当にいい話を聞けました、ありがとうございます

増山 そろそろ終了ですか?

吉田 いえ、そんなことはないのですが、そろそろまとめに入ろうかと思いまして

増山 そうですね

吉田 まだ喋り足りないことはありますか?

増山 う〜ん

吉田 僕への苦言でもなんでも

増山 そうですね、とりあえず一つだけ言えることは、そもそもモテる必要があるのかってことですかね

吉田 どういうことですか!?

増山 だって、不特定多数の女性にモテるか、ひとりの宮浮○いに愛されるかだったら、ひとりの宮浮○いに愛された方がいいでしょ?

吉田 えっ!?

不特定多数の女性より、ひとりのステディを

増山 どうしたんですか、驚いた顔して

吉田 増山さん、僕は今日の今日まで、とんでもない勘違いをしていたのかもしれません

増山 なんですか、急に

吉田 僕は宮浮○いに愛されるってことは、モテるってことだと思っていましたが、もしかしたら別問題なんですか?

増山 全然別の話だよ

吉田 今まで何やっていたんだろう、28年間も!

増山 常識です、そんなこと

吉田 完全に盲点でした! ひとりの宮浮○いに愛されるなら、モテなくっても全然いいです

増山 そうでしょ? あ○いちゃんと暮らせるんだったらモテなくっても全然オッケーでしょ?

吉田 はい、モテない万歳です

(店員が来てラストオーダを告げる)

増山 じゃあ、日本酒をもう一本いきましょうか

吉田 そうっすね

(日本酒とスープを頼む二人)

増山 それで、結局、吉田さんが言う「モテたい」は、「彼女がほしい」なのか、ミックジャガーのように不特定多数の女性をはべらせたいのかどっちなんですか?

吉田 彼女がほしいですね

増山 吉田さんは浮気性じゃないんですよね?

吉田 はい。むしろ、ひとりにいきすぎてウザがられるタイプです

増山 それならば、僕もそうですけど、モテないならモテないなりに身の丈にあった恋愛をしたほうがいいんじゃないですか、下手にモテようとするんじゃなくて

吉田 それが難しいんですけどね

増山 まぁ、私も吉田さんの気持ちは良く分かるんですよね、実際。つまり、彼女がほし過ぎてどうしたらいいか分からなくなっているんですよ。だから「彼女がほしい」という言葉を「モテたい」という言葉に置き換えてしまうんです。私もですが

吉田 それは大いにありますね

(日本酒を運んでくる店員)

増山 どうですか、こんなグダグダな対談だったけど、少しはお役に立てましたか

吉田 はい。増山さんのおかげでだいぶ、頭がクリアになってきました

増山 本当に?

吉田 はい。つまり、僕は不特定多数の女性にモテるより、ひとりだけのステディがほしかった訳なんですね

増山 うるさいよ、あなた!

吉田 この期に及んで突き放さないでくださいよ! せっかく分かってきたのに混乱しちゃうじゃないですか

増山 じゃあ、モテなくてもいいんですか?

吉田 ・・・今の気分では。でも明日はどうか分かりません

増山 そうですか

吉田 だって、モテる男じゃなければ宮浮○いも振り向いてくれない、という側面もあるじゃないですか

増山 確かに

(店員がスープを持ってくる)

吉田 まぁ、もう終電もなくなったこどだし、このあと、場所を移動して今日はとことん飲みましょうよ

増山 そうですね、もうこれ以上は頭が回りませんし

吉田 僕もです。ちょっと飲み過ぎましたね

(しみじみとした顔でスープをすする)

吉田 で、結局、僕はどうすればいいんですかね?

増山 そんなの分かりませんよ!

ひとまずは「不特定多数より一人のステディ」という考え方に落ち着いたが、すぐに「モテる男じゃなければ宮浮○いも振り向いてくれないんじゃないか?」という疑問にとらわれてしまった吉田。しかし、脳内のアルコール濃度が限界点を超えたため、この日の対談はこのへんで終了するしかなさそうだ。吉田直人、28歳。自分探しのための対談はこれからも続いて行く(はずである)。

(おわり)

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2010-05-07-FRI






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