居酒屋deふつう

Eひとりぼっちの何が悪い

クリエイターに対する歪んだ劣等感が全開となった吉田が、「ドフトエフスキーより彼女がスキー!!」と叫んだところまでが前回。世界的な文豪に八つ当たりしても何も変わらないことに気づかないまま、話は定職の問題から、増山さんが主宰する劇団の話まで及んでいく。

クリエイティブより定職?

(追加オーダーを頼む)

増山 なめろうと日本酒なんて最高の組み合わせだよ

吉田 そうっすね

(増山さんのオチョコに日本酒を注ぐ吉田)

吉田 さて、これまで増山さんにいろいろなお話を伺いましたけど、さっきから何度も出ている話題で、クリエイティブと恋愛が両立しないという話がありまして

増山 えぇ

吉田 確かに私も男ですよ、しかもクリエイターに憧れている男子の一人ですよ。男だったら一つのことに没頭して、全てを投げ打ってでも成し遂げたいことがある、ドフトエフスキーになりたい、そんな考え方も分かります

増山 はい

吉田 ただ、世の中でクリエイターと呼ばれている男たちには、だいたい彼女がいるじゃないですかということなんです

増山 そうなんですよね

吉田 そして、僕たちにはいないと

増山 はい

吉田 そういう意味では、もう、出だしから違う訳なんです

増山 じゃあ、逆に吉田さんは彼女ができればクリエイティブになるんですか?

吉田 それはね! 本当の僕はそこから始まりますから!

増山 でも、この年齢になると、下手にクリエイティブになるより、しっかりした職についたほうがモテるんじゃないですか? 女の子目線では

吉田 確かに

増山 クリエイティブより定職だと

吉田 まぁ、僕から言わせてみれば、そういう女の子は結婚を期待している訳で、僕には「しっかりして」なんて言ってくれる女の子すらいませんけど

増山 でも、現実的には、もうそろそろ30歳にもなりますし

吉田 そうですね。現に形になっているものを提示しなければいけない年齢であることは確かですよね

増山 現状、女の子に実績を問われたら、「すみません」というしかないですから

吉田 あくまで期待値で見てほしいですけどね、僕らとしては・・・

増山 世知辛い世の中ですよね・・・

吉田が救われた、ある台詞とは?

(日本酒を注ごうとする増山さん)

吉田 手酌なんてやめてくださいよ

増山 いえいえ、私なんてそんなもんなので

(お互い酌をする二人)

吉田 だいぶ、話が煮詰まってきましたね

増山 そうですね

吉田 でも、増山さんとこうやって話すことができて本当に嬉しいですよ

増山 私もです

吉田 後は、ちゃんと記事になればいいんですが・・・

増山 かなりクダグダですからね

吉田 でも、大丈夫です。カセットに取ってありますから

増山 そうですか

吉田 もうかなり話し尽くした感はあるんですが、増山さんに一つだけどうしても言っておきたいことがありまして

増山 なんですか?

吉田 前に観に行った増山さんの公演、なんでしたっけ、「ひとりぼっちの」っていう・・・

増山 『あり得ない角度』ですか?

吉田 そうそう

増山 あれは2008年の公演ですね

吉田 そう、あの芝居の台詞にでてきた「ひとりぼっちでの何が悪い」っていう台詞に僕は本当に感動したんです

増山 ありがとうございます

吉田 増山さんはテレ屋だから「そんなことないよ」と言うんでしょうけど、増山さんの芝居は本当に凄いと思うんですよね。しかもチケット代が安い!

増山 ははは(笑)

吉田 増山さんの芝居は「モテ」とか「エロさ」とか「情けなさ」みたいなものが存分に盛り込まれていますけど、そのなかでも、『あり得ない角度』の「ひとりぼっちの何が悪い」という台詞には衝撃を受けました

増山 嬉しいですね

吉田 当時の僕はいい歳ですよ。中学生じゃあるまいし、別に悩んでいる訳でもなかった。でも、本当に心が打たれたんです

増山 ちょっと褒め過ぎですよ(笑)

吉田 いえいえ。だってね、中途半端なカタルシスをくれる作品はたくさんあるんですよ。モテないなりに頑張ろうとか、全然だめ駄目だけどいつも友達は見てるよとか

増山 はいはい

吉田 でも、増山さんの芝居は違ったんです。僕はあの台詞で全肯定された気がしました

増山 まぁ、台本を書いたのは私ではないんですけど、でもあの台詞は我々(アンチバッティングセンター)を象徴している台詞だったと自負はあります

吉田 はい

増山 世間一般では芝居を観に行くと、なんやかんやいったって小綺麗な人が出てくるんですけど、我々はとにかく汚いんです。普通の感性で見ると、この人、舞台に立っちゃ駄目だろうという人がガンガン出てきますからね、アンチバは

吉田 ははは(笑)

増山 それは、もう酷いものですよ。モテない奴だらけです

吉田 それで、あの「ひとりぼっちで何が悪い」という台詞にはどんな思いが込められているんですか?

増山 聞きたいですか?

吉田 はい、それを聞かなければ、今回の対談を終わらすことができない気がするんです

(つづく)

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2010-05-01-SAT






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