趙偲宇

インターナショナル化が進み、留学する日本人も増えたが、日本にも外国人が増えた。仕事、学業、バカンス、亡命……、理由は多々ある。趙偲宇(ちょう・しう)、中国遼寧省出身、26歳。彼女の場合はどうだろうか。「日本の女性は美しいと思います。着物を着たときのうなじ、足首の見せ方とかセクシーだと思う。そういうとこに気付いている日本人は賢いと思います」。日本に憧れて渡日してかれこれ6年、日本語も流暢で、ときどき日本語の語彙を探す間があったり、イントネーションに四声の影響があるのがチャーミングだ。(文責:保科時彦)

「基本的に結婚を前提に付き合います。とり合えず付き合うことはしません」

肩書きは美大の院生。建築科でユニヴァーサルデザインを研究している。もともと油絵が好きなのだが、それでは食べて行ける保証もないので、建築科を受験。将来は少子高齢化が進む中国で老人ホームを設計したいという。「高校の頃に中国の美大の研究室で見た建築雑誌(新建築)が日本のもので、日本の建築に憧れました。それで卒業後は日本で勉強したいと思いました」。伊東豊雄など、ポストモダン(脱構築)系の建築や民家が好きだということだが、個人的な意見としては是非他の国の建築も見てほしい。

彼女は二十歳で日本の土を踏んだ。初めての外国だ。「2年間語学学校で日本語の勉強をしました。来た時は全く話せず大変で、女子美に入ってからもしばらくは授業についていけなかったです」と当時を振り返る。美大は他の学問に比べて、語学が多少拙くともなんとかなる学問だが、それでも閉鎖的な日本人の女子大の環境で馴染んでいくのはけして容易ではないはずだ。ところで何故女子大を選んだのだろうか。そもそも女子大というものの現代における存在理由がよく分からない私としては是非聞いておきたい。

「女子美の学生は礼儀正しいというイメージがあって、理想的な日本女性が多いと思いました」。かなり日本女性の評価が高いようだが、日本人の男性についてはどう思っているのだろうか。「あまり好みではない。中国人男性の方が男らしいと思う。女性もそうだけど、軽い部分があると思う」という。

そんな彼女の恋愛観は確かに堅い。「基本的に結婚を前提に付き合います。とり合えず付き合うことはしません。相手のことをよく知って、間違いないなと思ったら付き合います。これは中国人の一般的な考え方だと思います」。現在までに彼氏と言える彼氏は一人とのことだ。高校時代に告白されて付き合ったようだが1年で破局したとのこと。デート現場を親に目撃されて怒られたこともあるという。「一人っ子政策の影響で中国の親は過保護なんです」。確かに中国では現在少子化で過度の愛情と金銭を与えられている“小皇帝”と呼ばれる子どもが増えて、情操教育上の問題もあるのだ。そうは言っても滞在6年、渡日当時とは変わったこともあるはずだ。

「日本に来て前より女らしくなったと思います。でも恋愛の考え方はあまり変わってないですね。自分から男の人を好きになることはありませんし、好きなっても自分からは特に積極的には行動しません。話す時に優しくするとか微妙なニュアンスを出すことくらいです。直接は言わないけど感じ取ってほしいです。女性から告白すると立場が不利になるので、男の人から言ってもらいたいですね」。

「自分を超えるのが一番難しい」

将来は中国で働きたいという偲宇さん。「勉強なら日本の方がいいけど、住むなら中国の方がいい。私的な時間と仕事の時間とのバランスが中国の方がいい。日本人は働き過ぎだと思う。結婚しても当然働きたい。家事だけじゃ今までの勉強はなんだったんだと思ってしまう。外の世界も知って、自分の世界も持つ」。

偲宇さんは若いころの記念としてラボで自分の写真を撮ってもらうことがあるそうだ。妖艶な佇まいと鮮やかな色彩を放つ写真を見せてもらった。その美しさもさることながら、自分の美をモチーフに芸術作品を作る個性は強烈だ。「男の人に見せるのはちょっと恥ずかしいけど、女の子には、『どう?どう?』って聞くかも」。

そんな天真爛漫な彼女にとってふつうとはなんだろうか。「友達がいっぱいいて、周囲に馴染んでる人。私は馴染んでないので馴染みたいと思う。先生にはお嬢さんなところをなくさないとダメだと言われました。自分を超えるのが一番難しい。素敵でふつうな人になりたいと思います。もっと経験値を積んで自分の世界を広げたい」。

現在仲良くしている友人はそう多くないという偲宇さん、これからもっと積極的に外に出て、色んな人と接していけば価値観もどんどん変わっていくと思う。自分の価値観は大切なもので、周りに流されて見失ってもいけないが、価値観が変わるということは成長の証でもある。

若いうちの価値観なんか何度壊してもいいと思うのだ。自分のコアはそのままで価値観をちょっと脱構築して、ずらしてみてはいかがだろうか。

座右の品
閻萍の絵

趙さんの好きな絵

【略歴】

1982年2月17日、中国遼寧省生まれ、東京都中野区在住 遼寧省凌海市の小学校→第一初級中学→第二高級中学→渡日→日本語学校→女子美術大学芸術学部デザイン学科環境コース→同大大学院美術研究科デザイン専攻修士課程1年在学中【星座】水がめ座【血液型】A型【家族構成】父母【趣味】バレエ【好きな食べ物】日本の煮物【嫌いな食べ物】脂っぽいもの【お気に入りスポット】中野【尊敬する人】母、女子美の先生【座右の銘】温故而知新【好きなタイプ】頭が良くて仕事できて優しい人【嫌いなタイプ】出来もしないことを出来るという人【子どもの頃の夢】幼稚園の先生

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2008-06-23-MON






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