及川純 舞台女優

近代の日本で最も有名で素晴らしい詩の数々を残した詩人、中原中也。彼を扱った舞台「朝の詩」(12月1日:ポレポレ東中野)に中原中也の恋人、長谷川泰子役で出演する女優、及川純さん(23)。彼女をみた占い師いわく、「彼女のオーラの色はピンクで、その質感は“キャンディーを砕いたかんじ」。確かに演じているときの及川さんには、23歳とは思えない、妖しい色気が漂っていた。(文責:吉田直人)

「幸せになると、良い詩が書けない」

一彼女は言う。「私、転落する女性の役が多いんですよね」。

及川さんの芸歴は長い。物心ついたころから、「人前で注目を受けたい子ども」だった。10歳のとき、念願の「劇団ひまわり」への入団を果たし、好きな活動をしながら満ち足りた中学校生活を送っていた。

ところが劇団を抜け、高校へ入学した及川さんを待っていたのは、どうしても馴染むことができない学生生活だった。不登校になり、16歳のときに中退。しかし、やはり演劇をやりたかった彼女は、ほどなくして「劇団俳優座」を受け見事に合格。高校を中退というと両親の猛反対が想像されるが、演劇などが大好きな両親はむしろ大歓迎で応援してくれたという。

「ここからが転落のはじまりなんです…」。

俳優座へ入れば「新しいこと」ができると思っていたが、意外に古いものをやる団体で及川さんの期待したものとはかけ離れていた。こうして17歳のときには俳優座も脱退。「違うなって思ったら結構すっぱりやめるタイプ」の彼女は青春のど真ん中の時期に、学校も演劇も失ってしまった。

「学校もなくなって、演劇もなくなって、でも麻雀屋があったんですけど」。

雀荘で働いていた彼女は19歳のときに次の転機を迎える。蟹江杏さんとの出会いがきっかけに、芸術集団「Gucci & Bocci」の公演を観に行く。「ここなら楽しいことができるかも!」と再び彼女の心は色めき立つのだった。

「Gucci & Bocci」に参加した及川さんは、アルバイトをしながら3年間活動するが、そこは芸術肌の人ばかりの集まり。集客がうまくいかず、興行上の金銭問題で今年の2月で活動が休止してしまう。

「劇団の活動がなくなってから、しばらく小劇場の活動はやめておこうかと思っていたのですが、脚本を読んで出演を決意しました」。名前は知ってはいたが、詳しいことは知らなかった詩人、中原中也。その物語の世界観に興味を抱いた。「『幸せになると、良い詩が書けない』っていう台詞があるんですけど、たしかに表現者には多少は「影の部分」のようなものが必要かもしれませんね」。

転落しながらも楽しく生きていくということについて

転落しながらも、楽しく。

及川さんと話していて、ふとそんな言葉が浮かんだ。「転落」とかいうとちょっと語弊があるかもしれないが、人生にはうまくいかないこともたくさんある。そんな経験すら笑い話にして、自分の力にして楽しんでしまえたらとても素敵じゃないか、と。

「LIFE IS “CABARET” 『キャバレー』という映画が好きなんです。人生にはいろいろなコトがあって、嫌なコトや悲しいコトもいっぱいあるんだけど、それらもひっくるめて笑って楽しんでしまおうっていう精神に溢れていて」

最後に、これからの夢みたいなものはあるのだろうかー? 「最近はお金も大切だなって思って頑張って稼いでいるんですけど、やっぱりまだやりたいことをやっていきたい」。レトロなものが好きで、着物が好きな彼女は来年には着付けの資格取得を目指している。「着物を着てシャンソンを歌いたい」。小さな転落くらいじゃ、とても彼女をくじけさせられそうにない。

座右の品
キャバレー

ライザ・ミネリのラストに歌う姿が圧巻。パワーをもらいたくなったときに、いつも観る映画です。

【略歴】

及川純 23歳 1984年4月2日 神奈川県横浜市出身 東京都杉並区在住 東村山市立回田小→横浜市立六ッ川中→私立横須賀学院高(中退)→劇団俳優座→芸術集団「Gucci&Bocci」→休止中 【星座】おひつじ座【血液型】B型【家族構成】祖母父母 兄弟4人【趣味】ファミコン ドクターマリオは世界トップレベル(自称)【好きな食べ物】チョコレート【嫌いな食べ物】らっきょう【お気に入りスポット】高円寺の名曲喫茶【尊敬する人】ジャニス・ジョプリン【座右の銘】めったにはない、何十年に一回くらいかもしれないが『生きていてよかった』と思う夜がある(中島らも)【好きなタイプ】おそろしくて言えません【嫌いなタイプ】おそろしくて言えません【子どもの頃の夢】テレビに出て笑っている人

TOP
2007-011-12-MON






CATEGORY
恋愛面
人生面
芸術面
社会面
経済面
国際面
スポーツ面