タカハシアキラ: 東京ふつうの人新聞

プロフェッショナル:専門家。職業としてそれを行う人。⇔アマチュア(広辞苑第五版より)。簡潔な定義だ。しかしプロフェッショナルの定義は簡潔だが意味するものはけしてはっきりしたものではない。そもそも専門家と職業としてそれを行う人という並置された二つの事象があまりにも違うからだ。(文責:保科時彦)

もう、ハチクロのように没頭できる作品はないと思い商業アニメが嫌になった

あなたはプロですか?と言われれば「お金もらってりゃ、バイトでもプロ」と答える人もいるだろうし、「お金は貰ってないけど、プロ」を主張する人がいてもおかしくない。その仕事で生活していればプロなのだろうか。それとも自分の信念を貫くのがプロなのだろうか。それとも単に技術的に修練を積んだ人をプロというのだろうか。

タカハシアキラは写真家だ。己のポリシーに従って撮りたい写真を撮る。そして同時にカメラマンでもある。お金を貰って、依頼主のオファーに従って写真を撮る。プロである。「自分の主張や表現をするときは写真家で、写真家としての表現を磨くためにカメラマンという仕事をやっている」という。「ただカメラマンで生活は成り立たない。今はかけ出しだから。金は後からついて来る」。

もともとはアニメーターになりたかった。その仕事は今でも自身の生計を支えるもう一つの柱だ。「高校時代バンドマンを目指していたけど、就職のことを考えて、アニメの専門学校へ行きました」。

専門に入ってから絵が画けないことを思い知り、学校そっちのけで、作画監督に直接習うようになったという。専門卒業してからはいくつかのアニメ制作会社を転々とする。給料は極めて低かったが当時は実家だったからなんとかなっていたそうだ。

アニメを本職としていた時代には『スチームボーイ』や『ハチミツとクローバー』などの作画に携わるなどしていた。「そのころはアニメでのし上がっていこうと思っていました。真面目に頑張ればうまくなる」。しかし、椅子にじっと座っていることに耐えられなくて、長くは続かなかった。「集中力がないというか共同作業がむいてないんですよ、元々人と話すのが好きな人間なので(苦笑)。ハチクロが終わってから、もう、ハチクロのように没頭して心から好きになれる作品はないだろうなと思い商業アニメが嫌になってきたんです」。

ハチクロ以前のタカハシさんのメインの仕事はギャルものの際どいアニメばかりで「今はいいけど、10年20年先を考えてみてこれでいいんだろうかと。せっかく日本を代表する産業なのに。アニメはどこまでいっても子どもが見るもの。子どもが見て面白いから、子供の延長に居る大人が見ても面白い」と職業の転向を決心する。

凡人がもみくちゃになって正体不明になった時に生まれる奇跡

「テーマがシンプルなほうが伝わりやすい。人の心を豊かにする仕事をしたいので」ということで写真家として出発する。最初は仕事を取るために見様見真似、独学で写真を勉強して、持ち込みに行って、ダメ出しをされて、なにがいけなかったのか自問自答する日々が続いた。たまたま自分の周りにミュージシャンが多く、アーティスト写真を撮るようになった。

生活も変わった。「自分でスケジューリングできるからストレスは減ったけど、リスクもでかい」。当然そうすると生活と自分の希望の狭間で揺れ動くことになる。管理されるストレスはなくなったものの、生計に圧し掛かるリスクが取って変わって不安を産む。自分の出した答えに悩み、悩む。そのセンチメンタル過剰は主にウェブやSNSに独白として現れる。そんな自分を見て欲しい。気遣って欲しい。認めて欲しい。でも見ないで欲しい。放って置いて欲しい。さっきの発言を忘れて欲しい……。この狭間できりきりと舞う。

「自分が人生で一番落ち込んでいたときに励ましてくれた人がいて、その人が落ちこんでいたときに自分が写真でお礼ができるようにと。その人を起点に人の繋がりができた。それが写真をやっている原点。その人が自分にしてくれたことを今度は違う人にしてあげたい。一人の人が自分の写真で救われればそれでいい。極端なことを言えば元気な人は見なくていいとさえ思う。愛情の押し売りになるかもしれないけど」。

理想がある。自我理想(意識的な倫理観)がある。しかし超自我(無意識的な倫理観)がそれを止める。エス(欲望・衝動)がそれを突き崩す。やがて自我(パーソナリティ)不在のまま自我理想が暴走する。センチメンタル過剰。自我不在の不安から自我の認証を他者に求める。そんな自分を今度は自我理想が責める。そんな過剰なメンタリティのなかで撮られた写真の美しさに一瞬息を飲む。

荒れ騒ぐ精神均衡を一瞬で鎮める静寂と、温もり。タカハシアキラの天才的写真は凡人がもみくちゃになって正体不明になった時に生まれる奇跡だと思える。「みんな最初はふつうの人。好きなことを続けただけ。諦めず信念を持って続けることが大きなものに繋がると思う」。

座右の品
お香

家でリラックスするときに焚く

【略歴】

1980年2月29日 東京都三鷹市出身 中野区在住 都内市立中→都外私立高→代々木アニメーション学院アニメ科卒【星座】魚座【血液型】O型【家族構成】父母弟弟【趣味】映画鑑賞【好きな食べ物】フルーツ全般【嫌いな食べ物】塩辛、見た目がグロいもの【お気に入りスポット】吉祥寺【尊敬する人】浅川英郎【座右の銘】信念【好きなタイプ】目が二重で大きい人。笑顔のかわいい人【嫌いなタイプ】モラルのない人【子どもの頃の夢】漫画家

HP→http://crystal-style.com/index.php

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2009-01-05-MON






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