DMF 中野裕理 大橋麻美: 東京ふつうの人新聞

「芝居なんて興味ねーよ!」。 という人にも観てほしい公演がもうすぐある。観れば誰もが、舞台公演の旨味を存分に味わえるはずだ。 限られたセット、小道具、そして舞台という狭い場所で、動きと巧みな仕掛けによって世界を作り出す。臨場感、何より観客を含めた全体の一体感ではじめて成立する「空気」の凄み。人間が己の身体によって表現する生の映像世界。 言葉で表現することは虚しい。その「空気」はそこにしか、そのときにしか存在しえないから。そのひとときのために、すべては入念に準備され、意識は一体化される。そこに起こる「空気」へ向けて。 そんな世界に魅せられて、「役者」として走りつづける女性がここにも二人。(文責:吉田直人)

似ていないようで似ている二人。同じヒロインの役を演じるダブルキャスト

彼女の場合 中野裕理

「舞台の上で、お客さんに見られているときが一番幸せ」。

「“ふつうの生活”がつまらなかったから」。
おとなしい子どもだった。みんなで遊ぶよりも一人で妄想し、自分の中で世界をつくって遊ぶことを楽しんだ。それでも、学芸会では主役をしたり、合唱では指揮者をしたり、そういうときには必ず目立つ子でもあった。

“日常的ではない楽しいもの”を欲していた彼女は音大のミュージカル学科を卒業し、現在は舞台役者のほか、ダンスイベントやアイドルのバックダンサーなど、幅広く活躍している。

「映像作品に出ることもあるけれど、今はまだ楽しみを覚えていない。映像がもっと楽しくなると、今よりもっと違うと思うから、これから映像の仕事もやっていきたい」。

どんな些細な質問もまっすぐ目を見て聞く。彼女の、人に対して、物事に対しての真剣さと誠実さが見える。それでいて、難解な質問を投げかけてしまったときに時折見せる、帽子の端っこを指で抑えて考える仕草がチャーミングだ。

彼女の場合 大橋麻美

「役者という仕事をしていて最高の瞬間は、その役のこと、作品のメッセージを本当に理解できたとき。私はそれを、ちゃんと伝えたい」。

短大時代、Dear My Friend (現D.M.F.)の舞台「夜明け前」を観て、その4ヶ月後には舞台に立っていた。中学時代、演劇部だったものの、高校時代には芝居はせず、短大も家政科へと進み、得意な料理は肉じゃが。

短大卒業後はウエディング関係の会社へ就職したが、「就職した後、芝居に対する気持ちが強くなってきて」。ほどなくして会社をやめD.M.Fに入り現在に至る。「これからもずっと舞台に立ち続けることが目標。観客と直に接していられるから舞台がいいんです」。

彼女は口元に、桜の花びらのような柔らかい微かな笑みを絶やさずに、相手の目をまっすぐ見つめて話す。やわらかさの中に力強い意思を感じさせる。

そんな彼女たちは二人とも、友人の伝手で偶然「D.M.F」と出会った

「『夜明け前』を観た後に、別に落ち込んでいたわけじゃないんですけど、なんか生きる希望が残って。自分もお客さんに、こういう気持ちで帰ってもらえることをしたいと思ったんです」と大橋さん。

「D.M.F」はエンターテイメント性を大切にしている。「 “アトマスフィアー”という考えがあって、キャスト、お客さん、スタッフが同じ気持ちにならないとシーンが崩れてしまう。だから“何を見せたいか”を緻密に工夫しています」。中野さんは続ける。「お客さんが見やすいように作るということが一番なんです」。

なるほど、ダンスと殺陣をあわせたスピード感がある戦闘シーンは動きがあって観ていてとても迫力がある。また、「メトロノウム」という作品では、体の動きによって実に見事に時間のスキップとリバースを表現していて、細かいところまで楽しませてくれる。

“非日常”を作ることが仕事の彼女たちの“日常”とは

「やっぱり、すべて芝居が中心ですね。はじめに芝居の予定ありきのスケジュールなので生活はかなり不規則です」。大橋さんはこの日、前日から寝ていない。「でも東京に引っ越して家が近くなったんです。ちょっと寂しいときもあるけど、一人の時間を持てるようになった」。

裁縫が得意な大橋さんは、好きな柄の布を買ってきては新居をカスタマイズ中。「役作りはしますが、役者をしているからといって、会社員など一般的な仕事をしている人と違いは感じないですよ。私はミーハーだし、お芝居だってアングラなものよりも、誰もが観て楽しいものを作りたい。自分は、みんなが観て面白いものに対する感覚はあるほうだと思う」。

“ふつう”とか“ふつうの人”っていうのはどういうものだと思いますか?

「“ふつうの人”ですか?どんな仕事をしても生き方が上手い人は上手いと思うし。ただ、社会人になると自分のやりたいことを我慢している人が多いのも確かだと思う。『好きなことやれていいね』って言われるけれど、私は我慢しないでやりたいことを実行しているっていうだけの違いだと思う」と中野さん。

大橋さんも、しばらく考えてから、
「私は“ふつう”って“平穏”ということではないかと思う。それでいて、その平穏だけではどこかもの足らなさを感じている人が“ふつうの人”。もの足らなさを感じるから、自分は“ふつうの人”だと思う」。

中野さんは“美容の研究”が趣味とのことですが?

「化粧品のこととかはゆりちゃんに聞く!すごく詳しいから」と、大橋さん。

「役者をしているから美容に興味があるというわけじゃなくて、小さいころ“かわいくいたい”って気持ちがあるんです。お母さんの服を借りて着たりしていましたし。今は美容の研究が趣味です」。

お洒落に興味のある、早熟な少女だったように思える中野さんだが、恋愛に興味を持つようになったのは、まわりの子たちより遅かった。恋愛は意外にも苦手だったという。「まわりが見えてない子だったというか、好きになった瞬間、もう分析も何もできない。“廊下でいきなりクッキーを渡す”とかやっちゃってましたからねー。どう考えてもうまくいきそうもないことを、なぜか“うまくいくかもしれない”と根拠もなく思い込んでしまうところがあって」。

「私は逆に徹底的に相手を見る」と大橋さん。「人と出会ったらまずは、相手は自分のことが嫌いなんだろうなって思ってしまうくらいネガティブなんで…相手が自分のことを好きだと確信してからしか動けないんです」。

「えー、そうなんだ!」と、中野さんは驚き感心し、「私はどんどん鈍くなってる。恋愛下手。だから“お父さんみたいな人”がいいんです。自分が鈍くても相手が気づいてくれるくらいの人じゃないと」と言って笑う。

恋愛に関してのところは真逆ですね。お互いをどう思いますか?

「『D.M.F.』の中では私は、ゆりちゃんと一番似ていると思う」と、即座に大橋さんが答える。

「似てる?」。「似てると思うよー。芯の部分が」。

芯の部分はわからないが、嫌いな食べ物が「カレーライス」と「クリームシチュー」とは“嫌いな食べ物の芯”は似ているようだ。



“似ていないようで似ている”大橋さんと中野さん。今回はこの二人が同じヒロインの役を演じるダブルキャスト。舞台の上ではそれぞれ、どんな違った魅力で私たちを魅了してくれるのだろうか。

暖かくなりはじめる三月。今まで、舞台公演など観たこともない人も、ちょっと特別な楽しみを見つけに、池袋まで出かけてみるのはいかがだろうか? いや、行かなきゃ損だって!

座右の品
お肌にいいモノグッズ(中野さん選)

いろんなものを試したけれど、これが最高!乾燥もおさまり、滲まなくていいですよ。「まゆ玉」は美のカリスマIKKOさんがおすすめしていたやつ。今日、新宿で見つけてゲットしました!

【略歴】

●中野裕理(写真:左)
【生年月日】2月3日生まれ【住まい】東京都在住【血液型】A型【星座】水瓶座【家族】父、母、姉、ワンコ(全員チビちゃい)【最近あった嬉しいこと】前回の公演の日が誕生日で、みんなにお祝いしてもいらったこと。今までで一番幸せなバースディだった【自分流の習慣】お風呂の後には、お肌など全部ケアします!【好きな食べ物】からあげ【嫌いな食べ物】クリームシチュー【好きなタイプ】お父さんみたいな人【嫌いなタイプ】なんかすぐ怒る人【何フェチ】肩のお肉フェチ【子どものころの夢】歌手、魔法使い【座右の銘】「信じる者は救われる」

●大橋麻美(写真:右)
【略歴】1982年10月18日生まれ 神奈川県秦野市出身/東京都世田谷区在住 秦野市立大根小→秦野市立鶴巻中→県立大原高→ソニー学園湘北短期大学家政科→ウエディング関係の会社勤務→退社、D.M.F入団【血液型】O型【星座】天秤座【家族】パパ、ママ、弟、ピノ子(愛犬:父が命名)【最近あった嬉しいこと】最近一人暮らしをはじめて、自分のおうちがあること【寝る前にやること】腹筋、腕立て【好きな飲み物】カフェラテ【嫌いな食べ物】カレーライス【好きなタイプ】心が広い人【嫌いなタイプ】無神経な人【何フェチ】筋肉フェチ【子どものころの夢】料理が上手な人 【座中の銘】「地道に!」

【公演情報】「SLeeVe RefRain-スリーブ・リフレインー」作・演出 宮城陽亮
期間:2008年3月6日(木)-10日(月)
場所:東京芸術小劇場小ホール・1
チケット:(前売り/3500円、当日/4000円)
詳しくはD.M.F.特設ホームページへ

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2008-02-04-MON






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