小島督弘

言葉。 何気なく発せられた一言が、その後の人生に大きな影響を与えることがある。 “ヒロは全員に好かれようとしている” その言葉は、確かに彼を変えたのだ。(文責:吉田直人)

「声がいいね」と言われたことが全てのきっかけ

「『声がいいね』ということをいろいろなところで言われて、勘違いしたことが全てのきっかけでした」。

小島督弘さん(25)が、“声優”に興味を持ったのは高校3年生のころ。インターネットラジオの番組を聴いていて「おもしろいな」と思った。その衝動を行動へは移せずにいた高校時代。彼が動き出したのは大学入学後、コンビニエンスストアにおいてある無料雑誌のオーディションに応募し、某芸能プロダクションで研修生としてレッスンを受けはじめてからだった。レッスンを受けながら大学へ通う生活が続いたが、プロダクションでの活動が忙しくなると、大学を休学した。

「この頃はまだ、うまくやっていたのだけど…」。

プロダクションに入って1年後、研修生同士で行う最初の公演があった。まだ1年目にも関わらず小島さんは中心の役をもらい、小道具の責任者を任された。最初の公演の後も毎回、何かの役職がついた。当然、指示をしたり、仕切ったりする立場なのだが、まだキャリアが長いわけでもない彼には厳しい仕事だった。「『偉そうになった』と言われた。そんなつもりはなかったのだけれど、増長していたのかもしれないし、気を使い過ぎていたのかもしれない」と振り返る。

22歳のときに大学を中退し、アルバイトをしながらプロダクションの中で活動をする生活。小島さん自身もエキストラ等で有名映画やテレビ番組に出演しながら、事務所のマネージャーの仕事もするようになる。「この頃になると、いよいよ周りとの溝が大きくなってしまって、仲間だと思っていた人まで離れていってしまった。『どうしてお前に仕事ふられなきゃいけないんだよ』って」。昨年の8月、役者と事務所との間で板挟みに限界を感じ、ついに事務所を去ることを決意する。

“わかってくれない相手が悪い”というような、人のせいにする事をやめた

「俺、小中学校の6年間いじめれていたんですよ」。だから、というわけではないが、彼は人に嫌われないように、うまくつきあっていけるように、必要以上に気を使い、上手く立ち回ろうとするところがあった。

「ヒロは全員に好かれようとしている。」

ある友人に言われた言葉だった。この言葉を聞いたとき、なぜだか自分の悪い部分が見えたような気がした。「今まで僕は“あなたの事を思ってやったのに、何で分かってくれないんだ”みたいに思っていたかもしれない」。相手の為を思ってした事も、余計な事だったり、言い方や配慮が足りてないことがあるかもしれないって思えるようになった。“わかってくれない相手が悪い”というような、人のせいにばかりする事をやめた。

「芝居をしたほうがいいよ」。

プロダクションを辞めたあと、別の場所で活動をしていこうとオーディションを受けたがすべて落ちてしまい、芝居と関わらない日々が続き、役者をやめようか真剣に悩んでいたときに同じ友人に言われた言葉だった。そんな今年の春、小島さんはたまたま幣紙主宰のお花見に参加した。そこで演劇ユニット「ハイラック」 を主宰する高吉友美さん と出会い夏には舞台に出演、さらにそこで共演した増山寿史さんアンチバッティングセンター )の関係で今月また公演に出演する。出会いは次の出会いを呼んだ。

「人間関係に悩んだこともあったけれど、今は出会いや関係している人たちに本当に恵まれているなぁと感じています。仕事ではありませんが、今年は2回芝居に出られて、『東京ふつうの人新聞』には感謝していますよ」。幣紙としても最高に嬉しい言葉をいただいた。

「今後について、もちろん不安はあります。友人はみな社会人になっていく中で、このままでいいのかどうかとか悩んだりもします。でも今は仕事じゃなくても芝居にはたずさわっていたい。好きなことをやるには不安もリスクもあるってことです」と前向きだ。

「言葉」には力がある。 確かに、同じ「言葉」でも、話す人、状況、心境、によって胸に響いたり、そうでなかったり、感じ方が違うだろうけれど。それでも、「言葉」によってエネルギーやきっかけを貰うことはある。

彼の進もうとしている道は平坦なものではないだろう。「“僕に会えてよかった”と言ってもらえることが自分の存在意義になると思うから」。それでも歩き続ける。大切な「言葉」を胸に抱いて。

座右の品

「声」を褒められて調子に乗ったおかげで、芝居の世界に入った。自分に大きな変化をもたらしてくれたもの。いつか声優をやりたい。

【略歴】

1982年2月28日 東京都府中市出身・在住 私立武蔵野学園小→私立明星中→私立明星高→東京電気大学理工学部情報システム工学科→某芸能プロダクション→フリーター(フリーの役者)【家族構成】父母兄【血液型】A型【星座】うお座【趣味】ビリヤード、散歩【お気に入りスポット】 SUNTORY PUB ブリック(中野) 【尊敬する人】西川浩幸さん (演劇集団キャラメルボックス好きな食べ物】焼き鳥【嫌いな食べ物】パクチー【好きなタイプ】言葉が響いてくる人【嫌いなタイプ】理不尽な人、束縛する人【子供のころの夢】プロ野球選手【座右の銘】あきらめなければ、いつかは叶う

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2007-10-15-MON






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